Tuesday, September 21, 2010

2010年7月発売 iMac の CPU・GPU ベンチマーク

2010年7月27日にアップルが iMac をアップデートしました。全モデルで CPU に「Core i シリーズ」を搭載、GPU は最下位モデルもチップセット内蔵型から独立型に変更され、性能向上が期待できます。というわけでベンチマークサイトから数字を引っ張ってきて旧モデルと比較します。


最新型2011年5月発売モデル(2011 Mid)と旧機種とのベンチマーク比較は「iMac(2011 Mid)のCPUとGPUベンチマーク紹介(Core i5/i7)」で行っています。


その前に27インチモデル搭載の CPU について注意
新モデル iMac が搭載している CPU について、アップルのサイトの説明は全モデルの CPU が 32nm プロセスルールであるように読める。また、アップルが開催した説明会についての PC Watch の記事「アップル、新型iMacとMagic Trackpadの説明会を開催」によると、iMac の「新モデルはすべてのモデルにデスクトップ向けのCore iシリーズを搭載」し「いずれのモデルのCPUにもGPU機能は内蔵されてはいる」とあります。Yomiuri Online の記事「アップル、『iMac』『Mac Pro』の新型モデルを発表」では「4種類のモデル(中略)は、Apple が Intel の『Westmere』世代プロセッサを採用した製品」としている。


上記 CPU の説明は、iMac 下位モデル搭載のデュアルコア CPU(i3/i5)については正しい。しかし、iMac 上位モデルが搭載するクアッドコア CPU(i5/i7)については正しくありません。


iMac 上位モデルが搭載するクアッドコア CPU、Core i5-760(2.8GHz)と Core i7(2.93GHz)は、「GPU機能は内蔵」していない「Lynnfield」であり、45nm プロセスルールで製造されたものです。これについてアップルの説明にすこし納得がいかないのですが、だからといって最新CPUより性能の落ちるものを使っているわけでは無く、そもそも現行クアッドコア CPU モデルにふさわしい「Westmere」プロセッサが無いだけなので、あまり気にしないことにしましょう。


CPU ベンチマーク比較
ベンチマークスコアは PassMark というよく使われているもの。Windows 機で計測されたスコアですが、CPU 間の相対的な差を測るには十分なはずだから、Mac 版に流用します。

「クロック数」の括弧内はターボブースト使用時の最大動作周波数(単位は GHz)。また「コア数」の括弧内はハイパースレッディングテクノロジー(HTT)を実装している場合の論理スレッド数。

2009Early は 2009年3月発売のモデル、2009Late は 2009年10月、2010Mid は 2010年7月発売。ベンチスコアは9月20日時点のもの。
型番プロセッサナンバークロック数コア数キャッシュベンチ価格
2009 Early20インチ




MB417J/ACore 2 Duo E81352.66GHz26MB(2次)1831¥128,800

24インチ




MB418J/ACore 2 Duo E81352.66GHz26MB(2次)1831¥158,800
MB419J/ACore 2 Duo E83352.93GHz26MB(2次)2027¥198,800
MB420J/ACore 2 Duo E84353.06GHz26MB(2次)2255¥244,800
2009 Late21.5インチ




MB950J/ACore 2 Duo E76003.06GHz23MB(2次)2091¥118,800円
MC413J/ACore 2 Duo E76003.06GHz23MB(2次)2091¥148,800
同上オプションCore 2 Duo E86003.33GHz26MB(2次)2642-

27インチ




MB952J/ACore 2 Duo E76003.06GHz23MB(2次)2091¥168,800
同上オプションCore 2 Duo E86003.33GHz26MB(2次)2642-
MB953J/ACore i5-7502.66GHz(3.2)48MB(3次)4214¥198,800
同上オプションCore i7-8602.80GHz(3.46)4(8)8MB(3次)5535-
2010 Mid21.5インチ




MC508J/A Core i3-5403.06GHz2(4)4MB(3次)2791¥118,800
MC509J/A Core i3-5503.20GHz2(4)4MB(3次)2951¥148,800
同上オプションCore i5-6803.60GHz(3.86)2(4)4MB(3次)3537プラス ¥19,530
2010 Mid27インチ




MC510J/A Core i3-5503.20GHz2(4)4MB(3次)2951¥168,800
同上オプションCore i5-6803.60GHz(3.86)2(4)4MB(3次)3537プラス ¥19,530
MC511J/A Core i5-7602.80GHz(3.46)48MB(3次)4543¥198,800
同上オプションCore i7-8702.93GHz(3.6)4(8)8MB(3次)5932プラス ¥19,530


注目点
あくまでこのベンチマークスコアによると、
  • 2009Early の最上位モデルのスコアが「2255」であるのに対して、2010Mid は最廉価モデルでも「2791」と上回っている
  • 2009Early と 2010Mid それぞれの最廉価モデルを比較すると「1831」と「2791」で、新型が1.5倍速くなっている
  • 2009Early と 2010Mid それぞれの最上位モデルを比較すると「2255」と「5932」であり、2倍以上高速になっている。

もう一度述べておくと、これはあくまで特定のベンチマークソフトのスコアですから、使用するソフト・行う作業が異なれば数字どおりの性能向上が得られない場合もしばしばあるわけですが、それでもこの比較は衝撃的な結果であり、"Core 2" から "Core i" への移行がとても大きなものであったと分かります(ムーアの法則どおりとも言えるのですが)。現行全モデルが"Core i"になった今、"Core 2" 世代の iMac 所有者で CPU 性能に不足を感じている方にとっては、買い替えの良いタイミングといえそうです。



GPUベンチマーク比較

ベンチマークスコアは CPU と同じく PassMark から。やはり Windows マシンで計測されたものですが、問題ないでしょう。

型番GPU搭載メモリ(MB)ベンチ価格
2009 Early20インチ1680×1050

MB417J/AGeForce 9400M256(共有)136¥128,800

24インチ1920×1200

MB418J/AGeForce 9400M256(共有)136¥158,800
MB419J/AGeForce GT 120256389¥198,800
MB420J/AGeForce GT 130512550¥244,800
上位2機種OpRadeon HD 48505121332-
2009 Late21.5インチ1920×1080

MB950J/AGeForce 9400M256(共有)136¥118,800円
MC413J/ARadeon HD 4670256733¥148,800

27インチ2560×1440

MB952J/ARadeon HD 4670256733¥168,800
MB953J/ARadeon HD 48505121332¥198,800
2010 Mid21.5インチ1920×1080

MC508J/A Radeon HD 4670256733¥118,800
MC509J/A Radeon HD 56705121162¥148,800
2010 Mid27インチ2560×1440

MC510J/A Radeon HD 56705121162¥168,800
MC511J/A Radeon HD 575010241422¥198,800


実は 2009年の下位機種が搭載するチップセット内蔵GPU「NVIDIA GeForce 9400M」が、「9400M」と「9400M G」のどちらなのかがイマイチよくわからないのです。MacBook の以前のモデルは「9400M G」を搭載していながら「9400M」とだけ表記されていたと言われています。上の表では「G」なしの「9400M」のスコアを取りました。そのほうが ITmedia のレビュー記事に掲載されている実機を用いて調べたスコアと矛盾が生じないと考えたためです。ただし「9400M G」だった場合、そのスコアは「320」であることもあわせて表記しておきます。


2010年モデルから最廉価機種もディスクリートGPU「ATI Radeon HD 4670」になりました。性能向上は著しく、「GeForce 9400M」と比べて Passmark のスコアは5倍以上です。このクラスになると重めの 3D ゲームも遊べるレベルでしょう。「Radeon HD 4670」で調べると、「かなりのハイスペックが要求される」と言われる「ファイナルファンタジー14(Windows専用) 」も画質を下げれば十分遊べると報告している人もいます。ただし、「GeForce 9400M」も十分優秀ですから、新旧機種の GPU の違いは3Dゲームをやる人でなければあまり意味はないかもしれません。

現行下位機種のスコア以外の変更点として、「GeForce 9400M」の DirectX が「10.0」であるのに対して、「Radeon HD 4670」が「10.1」である点が挙げられます。BootCamp で Windows 7 を使用することを考えている人もいるでしょうが、Windows7 には次のような特性があります。

Windows 7はDirectX 10世代の旧式のビデオカードでもソフトウェアエミュレーションによって DirectX 10.1世代相当で動作させることが可能です。 しかし、本来ビデオカードが得意とする処理をCPUに肩代わりさせることになるので、CPUに余計な負担を与えます。
Windows 7 で DirectX 11 を体験してみよう!より


Windows 7ではDirect 3D 10.1 APIに実装されている機能を活用することでメモリの利用効率を向上させ,ウィンドウ操作に対するメモリ消費量をWindows Vistaに対して約50%も削減している。さらに,Windows Vistaでは開いたウィンドウの数に比例してメモリを使っていたため,ウィンドウを開けば開くほど動作が重くなってしまっていたが,Windows 7ではウィンドウの数に関係なく,メモリ消費は常に一定で,どれだけウィンドウを開いてもOSの動作自体に影響しない設計がなされている。これらの仕様は Direct X 10.1が前提となっているものだ。Windows 7の要求仕様としてはDirect X 9となっているが,その場合,エミュレーションによりCPUに負荷がかかるため,パフォーマンスが低下してしまうし,Direct X 10でもGPU仮想化によるマルチタスク処理に未対応である。
http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/0ia0/104117/より

上記のような Windows7 の特性により、「GeForce 9400M」搭載機で Windows7 を使用すると、無駄にCPUが使われると考えられます。現行 iMac では最廉価モデルも DirectX 10.1対応の「Radeon HD 4670」になったことで、「iMac で動かす Windows7」がより軽くなるだろうと期待できます。

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